【Why on Earth】─アイスランド縦断記─巡礼とは、人生における内観の旅そのものかもしれない
この本を手にした時、一番最初に目につく言葉は「なぜそんな馬鹿げたことを?」かもしれません。
実は英語でいうところの「Why on Earth?」というのは「なんでそんな馬鹿げたことをするの?」という皮肉が込められている言葉なのだとか。
すなわち、この「アイスランドを裸足で縦断する」という行為そのものが周りから賞賛されるものではないだろうことを、著者のエハン・デラヴィ氏は承知の上で、その行為を実行に移したのです。
でも、「間違いなく注目される」エハン氏にはその確信がありました。
そして、「注目されなければならない理由」が存在していたのです。
日本はもっとも「地球とつながっていない国」
日本を発つ前、エハン氏はこう語っていました。
「注目されなければならない理由」。これこそが、「日本人がどれほど大地や地球とつながっていないか」を全国民に伝えるため、だったのです。
アレルギー、炎症、アトピーなど、さまざまな現代病といえるものは1960年代以降にいっきに増加しています。ちょうど「生活の便利さ」だけを追求するようになった時代とかぶっていますね。
確かに、都会に住む人たちはあえて自ら「大地につながろう」としなければ、なかなかその機会さえ持てません。
でも「それが普通」になってしまっている。
ものすごく不自然なことなのに、「大地につながらないことが自然」になってしまっている。
これって、突き詰めていくと禅問答のようにグルグル回転して答えが出なくなってしまいそうな感がありますね。
ですが思えば、希薄化した人間関係、コミュニケーション。相手を深く知ろうとせずに「うわべだけうまく行けば問題なし」とされる現代社会。
すべては「大地に根を下ろしていないが故のこと」と言えるかもしれません。いわゆる根無し草のような感じです。
「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ!!」
宮崎駿のアニメ「天空の城ラピュタ」に出てくるシータの台詞ですが、これって実は現代日本にも言えるものがあるかもしれません。
※某県にある超高層マンション。56階建て。
何故、人は大地から離れて暮らそうとするのか。
映画は目に見える現象、書籍は内面の変化
こうして、エハン・デラヴィ氏による「大地につながっていないことを、日本人に知ってもらうため」のアイスランド縦断の旅が、2017年6月24日にスタートしました。
その行程は、決して楽な旅などではありません。
はや2日目にして、エハン氏は4ヶ月前に負傷していた足の裏を悪化させてしまいます。立ち上がることさえも出来なくなった彼の心境はいかなるものだったのか──想像だに及びません。
こうした経緯については映画の中で、そして、映画で起きた出来事を通じてエハン氏の中で生じた心情の変化が書籍で描かれています。
すなわち、映画と書籍は「対外的な体験と心理的経緯」この両者を表しているとも言えるでしょう。
また、アーシングとして「アイスランドの地に直接つながる」ことで、ただの観光では感じられないアイスランドの土壌をエハン氏は実感することとなりました。
ただの観光と「大地とつながった観光」の違いについては、以下の記事をご参照ください。
(エハン・デラヴィ)アイスランドという大地にコンタクト──いわゆる「自分の身体とアイスランドがひとつになる」までは、数々の試練がありました。国にはそれぞれ性質、性格というべきものがあります。日本は日本という土壌(どじょう)の性質、イギリスにはイギリスの土壌である性質、そしてアイスランドの土壌は「とてつもなくワイルド」そして「自然」、「汚染されていない」、これがアイスランドという大地の特質なのです。
通常、人々は「その国々の特質」を体感出来ません。何故なら、大地に接触しない状態になるよう絶縁体の靴を履いているわけですから、体感せずに「目でしか見ていない」わけです。多くの方が勘違いしているのは、目で見て空気を感じて、これが一体化だと思っていますが、そうではないのです。
それは映画を観ているのと同様でしかなく、大地そのものに、その国そのものに「コンタクト」していません。コンタクトするという意味は、直接人間の身体における電子フィールドと地球の電子フィールドを「まったく同一化させる」という意味です。その時に初めて、人は大地(その大地を担う国々)と「つながった」ことになるのです。
──大地にコンタクトする、というのは具体的にどのようなことを言うのですか?
人に喩えてみましょう。対人関係においても、「その人と心のつながりが出来るようになるまで、時間がかかる」わけですよね。その人と話したり、その人の話を聞いたり。でも、本当の意味での心のコンタクトが出来ていない場合も少なからずあります。でも、本当に相手とコンタクト出来ると「その人の心」が分かる。その人の「思い」が伝わってくる。こうしたことを、私たちは日常茶飯事、社会の中で体感しているはずです。対象を「人」から「大地」に変えるだけです。
多くの人は「観光旅行」として様々な国を訪れますが、そうした時に見てきた国々の様相は「頭の中で上映された映画」のようなものなのです。目でしか見ていない。人とのコミュニケーションに例えたら、相手の心に触れていない。アイスランドについても同様のことが言えて、大地と繋がった状態でなく訪れても「頭の中のアイスランド」でしかないのです。すべて脳内のノイズに過ぎません。脳内で「これがアイスランドなのだ」と自分で描いている思考に過ぎないのです。
実際に裸足で、実際に自分の身体で大地にコンタクトするというのは、すぐに出来るものではありません。例えば野生の動物を自分の庭で飼おうとしても、その動物は絶対に近寄らないでしょう。自分の野生性を保ちたいからです。だから人間を遠ざけようとするわけですが、私たちが野生動物に心を開いて、少しずつ丁寧に接するようになると「まったく違う関係」になっていきますよね。
(一社)Earthling Foundation
映画サイトより引用 http://earthling-jp.org/why-on-earth/sp-interview/
エハン氏はアイスランドに「直接、コンタクト」することによって、さまざまな心情の変化を経ていきました。
それは、自分が繰り返しがちな人生のパターンだったり、泣いてみたり、笑ってみたり、叫んでみたり。動物に向かって歌ってみたり(笑)。
そうした行動が「自然と体現できる」ということが、アイスランドの土壌の特質だったのかもしれません。
これが日本だったら、また違ったかもしれませんね。
日本の土壌は…もしかしたら、もっと温厚かもしれません。
海外に行ったら「その国」と繋がる。
そうすることで、その国に住む人たちの国民性も理解出来るかもしれませんね。
アイスランド人はアウトローが英雄
映画の中ではあまり取り上げられていませんが、書籍ではアイスランドのアウトローについて取り上げられています。
一番驚かされるのが「アイヴァンと妻ハットラン」の話です。この逸話は、温暖な地で育った私たち日本人には理解しがたい側面があるかもしれません。「盗みの濡れ衣」をきせられた彼らは、逃亡するために自分の子ども達を殺したそうです。
日本では非難されてしまいそうなことですが…「そうするしか出来ない環境」というのが世界には実在するのです。
アイスランドの美しい自然、雄大な大地を見ているだけではそうした実情が実感出来ないかもしれませんが、「国につながる」ことで、それが体感出来るのだと思います。
大地と繋がる、国と繋がる、それは「その地に生きた人々とつながる」ということでもあるかもしれませんね。
※映画アバターの一場面
「魂の木」では先祖達の意識がひとつになってつながり
声となって聞くことが出来ます。
地球の大地も同じかもしれませんね。
映画「Why on Earth」上映会とトークショー
7月13日(金)と9月29日(土)に、映画の上映会とトークショー、サイン会が行われます。
映画の中で「今日は散々だった…」とぼやく場面が、書籍の方では実はその経験を元にエハン氏に「気づき」が得られていたり、書籍と映画のリンクする場面をたくさん味わえます。
その上で、エハンさんからさらに深くアイスランド体験についてのトークが聞ける機会です!
※アイスランドの縦断が終わった瞬間※
皆さんもご存じのように、エハンさんの話はどれをとっても「同じ話」はありません。
7月13日と9月29日にする内容は、まず決まって「違う話」になるでしょう。ぜひ、それぞれの場と雰囲気と違うトークを楽しんでみませんか?
【申込先は「こちら」】
※当日参加も可能です。ぜひお立ち寄りくださいませ!
【エハン・デラヴィ】
スコットランド生まれ。幼少から神秘的な世界に惹かれ、22歳より日本で世界生活を開始。日本で最初の15年間、東洋医学と弓道に専念する。幅広いテーマ(宇宙物理学、経済、脳科学、精神学など)に深い造詣と独自の考察を有し、意識研究家として知られ、世界隅々から収集したニューパラダイムに関する情報を伝えている。『太陽の暗号』『地球巡礼者』『聖なる国、日本』など著書多数。
2013年に裸足で大地に立つ健康法「アーシング」に出会い、5年間、日本でのアーシング普及活動に努める。2017年6月には33日間に渡るアイスランド縦断を決行。その時のドキュメンタリー映画「Why on Earth」が2018年6月から封切となる。アーシングを通じて「大地と切り離された生活が如何に人々の健康や精神を脅かすか」を確信し、健康維持を目的としたアーシング普及活動、自然保護や緑化活動を目的とした「一般社団法人アースリング・ファウンデーション」を2018年1月に設立。代表理事を務めている。
文責:篠崎由羅